オウンドメディアを運用する上で、CMSというツールを聞いたことがある方も多いはず。なぜならCMSは、オウンドメディアに限らず数多くのWebサイトに利用されているからです。
しかし実際にどんな機能があるのか、なんのメリットがあるのかを把握していない方もいるでしょう。そこで今回はCMSの概要から、オウンドメディアで導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

CMS(Content Management System)とは

CMS(Content Management System)とは

CMSとは、主にWebサイトを構築できるシステムのことを指します。Webサイトを構成するテキストや画像などの様々なデータを一元管理しており、専門的な知識をもたない方でもブログやメディアを製作できるようになるツールです。

そしてCMSはWebサイト構築の様々な工程を簡略化できるため、いちからプログラミングするよりも効率的にサイトを製作できます。特に最近では、コーダーやプログラマーといった専門家であっても、CMSを利用してWebサイトを作ることがほとんどでしょう。

代表的なCMSは、全世界で最も使われている「WordPress(ワードプレス)」です。CMSの中では約62%の利用率を誇り、世界中のWebサイトのうち約35%を占めると言われています。Webサイト製作で最初に触れるCMSといっても過言ではありません。

もちろんオウンドメディアを構築する際にも、CMSは必須となるツールです。これからオウンドメディアの導入を検討している方は「自社で構築するか外注するか迷う」「自社でオウンドメディアを管理できるのか」などの疑問の参考にもなるため、CMSの知識を取り入れておいて損はありません。

専門知識がなくても運用可能

Webサイトをいちから製作するには、ホームページの骨組みとなる「HTML」、デザインやレイアウトなどの装飾を施す「CSS」といったマークアップ言語で組み立てていくのが一般的です。

しかしCMSを利用すれば、これらの専門的な知識や技術が無くてもWebサイトを作ることが可能です。例えば記事を製作する場合だと専用の編集ページが用意されており、テキストの入力から文字サイズやカラーの変更、画像の挿入などを直感的に操作できます。

サイト全体のレイアウトを変更する際には、元から用意されているテンプレートや有料のコンテンツを購入することで自由に外観を変えられます。

このように、CMSはマークアップ言語やプログラミングの知識がなくても、誰でも簡単にコンテンツの作成や更新などを可能にします。

制作や更新にかかる時間や費用が抑えられる

オウンドメディアの構築を製作会社に外注すると、数万円から数十万円の費用がかかります。また外部に依頼する場合、製作までには数日から数週間ほどの期間を必要とする会社がほとんどです。

しかしCMSを自社で導入できれば、外部に依頼する際の見積もりや内容のすり合わせといった様々な工程を削減できます。さらにWebサイト製作にかかる費用は、WordPressだと有料のテーマやプラグイン(拡張機能)の導入で1万〜3万円程度に抑えられるでしょう。

もちろんCMSを利用するために基本的な操作を覚える必要はありますが、Webサイト製作の専門知識を学習するより格段に早いです。現に最近のブログやメディアは、非常にクオリティの高いものばかりですが、CMSからWebサイト製作を始めた運営者も数多く見受けられます。

ただ、自社で製作する場合、Web製作の担当者を設置する必要があります。人件費や人材のリソースがかかるため、自社製作と外注のどちらがコストを抑えられるかを検討した上でオウンドメディアを導入しましょう。

CMSの種類

CMSには様々な種類があり、製作するWebサイトによって最適なものも異なります。「どんなコンテンツを作りたいか」などの目的に合わせて、自社にあったCMSを選びましょう。

ここではどんなCMSがあるのか、種類別にご紹介していきます。

オープンソース型

オープンソース型は、プログラミング言語で構築された命令文(ソースコード)が一般公開されているCMSのことです。誰でも自由に利用や修正などが可能なので、無料で導入できるCMSが数多くあります。

ソースコードが公開されているので、プログラム自体の解析が進んでおり、カスタマイズ性が高いのも魅力。CMSに合わせた様々なデザインやテンプレートが、無料・有料で提供されています。

そして世界で最もシェア率の高いCMSである「WordPress」もオープンソース型です。安価で使える反面、提供元からのサポートがない場合も多く、トラブルが発生しても自己責任となることがほとんどです。ただし有償で提供されている「コマーシャルオープンソース」のCMSでは、サポートが付くこともあります。

また基本的にオープンソース型のCMSは、商用利用を想定して作られていないため、数千ページ以上の大規模なWebサイトやECサイトの製作に向いていません。そのため、テキスト主体の記事やホワイトペーパーなどの小規模で済ませられるコンテンツ発信におすすめです。

パッケージ型

パッケージ型のCMSは、システムを開発した企業が商品として販売しているCMSのことです。CMSを利用するにはライセンスを購入しなければならないため、それなりの費用がかかります。

ただしWebサイト製作に必要な機能がパッケージ化されているので、CMSのみで様々な機能を使うことが可能です。販売元からのサポート体制もあるので、導入や運用方法、トラブルなどにも対応してくれる場合が多いでしょう。

費用は、Webサイトの規模によって変動するケースがほとんどです。オープンソース型に比べるとコストはかかりますが、初心者でも扱いやすくサポートも充実しているなど高い費用対効果を期待できます。

独自開発型

独自開発型は、製作するWebサイトに応じて開発されるCMSのことです。いちからCMSを構築するので、自社のサイトに必要な機能の実装やセキュリティ面の強化、運用後の連携を図りやすくするなど柔軟に対応できます。

CMSの開発はベンダー企業(製品のメーカー、または販売会社)に依頼するため、導入や運用、保守などの様々なサポートを受けられるのも大きな利点です。ただし、オープンソース型やパッケージ型とは比べ物にならない費用がかかります。またゼロから要件定義を行うので、設計や開発にそれなりの時間がかかる点も注意が必要です。

初めて導入する方やメディア運用に力を注げないのであれば、あまりおすすめできません。しかし本格的にオウンドメディアを運営するなら、ひとつの選択肢として検討する価値はあります。

オウンドメディアをCMSで構築するメリット

オウンドメディアをCMSで構築するメリット

オウンドメディアを構築する際にCMSを活用すると、いちから製作するよりも多彩なメリットがあります。特に現在では、Webサイトの多くがCMSによって構築されており、有用性の高さが伺えるはずです。

より良いオウンドメディアをつくり上げるためにも、CMSは積極的に取り入れることをおすすめします。では具体的にどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

管理・更新が容易になる

CMSの操作を覚えれば、様々なコンテンツの管理や更新が楽になります。例えば新しい記事をアップする際には、文章を入力しボタンを押すだけで簡単に更新することが可能です。

管理画面では、タイトルや本文欄など入力に必要なフォームがしっかりと用意されているため、直感的に操作しやすく覚えやすいメリットもあります。文字のサイズやカラーなども編集ページから簡単に操作できることが多いので、HTMLやCSSなどの知識がなくても問題ありません。

さらにカテゴリ別や更新順などでコンテンツを管理することも可能です。修正したい記事や、情報が新しくなったことで内容を更新したい記事などを容易に探せます。

定期的に更新を行い、膨大な量のコンテンツを管理するオウンドメディアなら、CMSは欠かせないツールになるはずです。

更新費用も大幅におさえることができる

Webサイト制作を外注すると、ページ更新するたびに1万円以上の費用がかかります。特に初期費用が安い制作会社の場合、更新費用で元を取ることもあり、5万円以上の料金になるケースもあるのです。オウンドメディアの運営はいつ成果が出るかわからないため、これだけの費用を定期的にかけるのもなかなか勇気がいりますよね。

そして基本的には、外注するよりも自社で更新作業を実施したほうが費用を抑えられる傾向にあります。例えば記事の執筆や推敲、更新作業などにかかる費用は実質ゼロです。

ただし作業に取り組む社員の人件費はかかるため、コンテンツの更新がどれくらいの工数になるのかを計算し、自社と外注の費用を比較検討した上で決める必要はあります。

自社で対応可能なため情報発信も迅速に

自社で行う場合、オウンドメディアからの情報発信も迅速に行えます。というのもWebサイトの更新を制作会社に外注すると、作業を完了するまでにかなりの時間を要するからです。

具体的には、まず「どんな記事を書きたいのか」などの構想を伝え、費用の見積書をもらい、自社で検討した後に作業が開始されます。そして更新作業が一度終わると自社によるチェックを行い、変更点や修正点があれば再度制作会社による作業が入ります。

特にオウンドメディアを立ち上げたばかりだと、一つひとつの工程を進める際に自社と制作会社でやり取りが発生しやすいもの。連絡手段もメールやオンライン会議ツールなので、自社の意図が伝わらない可能性があります。

しかしCMSを利用して自社で更新を行う場合、これら全ての作業を一貫して実施することが可能です。意思疎通や書類のやり取りもないため、無駄な待ち時間も発生しません。新商品のリリースや期間限定のイベントなどのトレンド情報も、CMSを利用することで読者へ迅速に発信できます。

分業化によって効率的に運用できる

オウンドメディアは、様々なコンテンツを配置し独自の価値を提供するものです。具体的には商品やサービス説明ページ、会社概要や実施事業、お問い合わせやFAQなどが挙げられます。

これらのコンテンツをそれぞれ管理担当者や部門を分けることで、多くの作業を同時進行させて効率的にオウンドメディアを運用することが可能。例えば、商品説明ページには営業部門、会社概要には広報部門といった具合です。

たとえWebサイト制作の知識をもたない人しかいなくても、CMSならちょっとした操作方法を覚えるだけで、記事の更新程度はこなせるようになります。しかもCMSによってはアカウント毎に編集権限を設定できるため、他のページを間違えて操作してしまうなどのミスも防げ、安心してそれぞれの部署に任せられるのです。

パソコンとモバイルのデザインを同時に行える

Webサイトを閲覧している人は、なにもパソコンからだけではありません。近年においては、スマホからWebサイトを見ている方も数多く存在しています。例えば、総務省の調査データを見てみると、インターネットの個人利用率でスマホがパソコンを上回っている結果です。

そのためオウンドメディアを構築する際には、スマホやタブレットでの閲覧を最適化する「レスポンシブ対応」が欠かせない状況です。そしてCMSによっては、パソコンとモバイルのデザインを同時に変更できるものもあります。

標準でレスポンシブ対応していないCMSもありますが、用意されているテーマやテンプレートによっては簡単に構築することが可能です。

モバイルに対応していないと、スマホの小さい画面でよりサイトが見づらくなるため、読むのを諦める方もいるはず。しかしCMSで同時対応することにより、離脱してしまう読者を抑えることができるのです。

担当者が変わっても引継ぎしやすい

CMSでオウンドメディアを構築していると、比較的誰でも簡単に操作できます。つまりWebサイトの管理担当者の部署異動や退職があっても、次の人材に業務を引き継ぎやすいです。

もちろん企業によっては、コンテンツの作成や更新に独自の規則を設けていることもありますが、一度マニュアルを作っておけばスムーズに引き継ぎ作業を実施できるでしょう。

基本的な操作に関しても、インターネットで調べればすぐに出てくるはずです。急なタイミングで担当者の交代があっても、対応しやすい強みがCMSにはあります。

コンテンツマーケティングがしやすくなる

コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値のある情報を提供して見込み客やファン層を獲得し、最終的な企業の利益につなげることです。

特に近年のインターネットユーザーは、明らかに宣伝とわかるような従来の広告を嫌悪する傾向にあります。そのため、オウンドメディアによるコンテンツマーケティングでの情報発信が欠かせません。

その点で言えば、CMSは記事などのコンテンツ制作・管理が容易に行えます。自社での情報発信にも適しているので、価値のあるコンテンツを生み出しやすいツールと言えるでしょう。

コンテンツは自社の財産になる

オウンドメディアは通常の広告と違い、生み出したコンテンツがどんどん蓄積されていきます。CMSでは効率の良いコンテンツ制作ができるため、オウンドメディアと非常に相性が良いです。

しかも自社で更新しやすい点も大きな魅力。例えば価値の下がった情報の古い記事は、新たに書き直すことで再度価値を高められるでしょう。立ち上げたばかりに作成した記事でも、読者にとって価値があれば検索サイトで上位表示され続ける可能性があります。

そして更新したばかりの記事に価値がなくても、後々話題になり評価されることがあるのです。コンテンツ自体が企業の財産になるオウンドメディアでは、こうしたCMSを利用するメリットも数多く見受けられます。

CMS導入に向いているのはどんなサイト?

これまでの説明から、CMSでは効率的なコンテンツ制作や迅速な情報発信などが可能なため、その利点と相性の良いWebサイトでの利用がおすすめです。

具体的には、

  • 記事などのコンテンツを更新する頻度が高い
  • 新商品やサービス、イベントなどを定期的にリリースしている
  • スマホで閲覧しているライト層の獲得を狙っている
  • 制作や更新のコスパを抑えたい

などが挙げられます。

また人的要因も、CMSを導入するかの大きな理由になります。例えば、

  • HTMLやCSSなどの専門知識をもつ人材が社内にいない
  • Webサイト制作にリソースを割ける人材(部門)が豊富

などです。

すでにオウンドメディアを構築している場合でも、CMSを導入することはできます。しかしURLの変更によるリンク切れで読者が離れたり、移行後にデザインが崩れたりすることもあるため慎重に行う必要があるでしょう。

CMS導入のデメリット

CMS導入のデメリット

CMSの導入は、メリットだけでなくデメリットも存在します。しかし事前に知っておけば、適切な対応も可能です。

では具体的にどんなデメリットがあるのか見ていきましょう。

操作方法に慣れるまで時間がかかる

いくらHTMLやCSSでの構築より簡単とは言っても、ある程度の操作を覚える必要がありますし、パソコン操作が苦手な方にとっては理解しづらいこともあります。

そのため管理担当者を選ぶ際には、インターネットやパソコン操作に馴染みのある方を選出することも大切。例えばプライベートでよくネットサーフィンする人、業務でパソコンを操作する人などが挙げられます。

特に普段からWebサイトを見慣れている方なら、記事の見出しや本文などのコンテンツ構成などもすぐに理解できるはずです。適切な人選こそが、事業の活性化に欠かせない要素と言えるでしょう。

セキュリティ面に不安が残る

インターネットの世界は、不正アクセスなどの悪意のある行為の対象になる可能性があるため、セキュリティ対策が必須事項です。特にCMSでは、最初から高いセキュリティが積まれているわけではないので不安が残ります。

例えば世界No.1シェアを誇る「WordPress」は、オープンソース型のCMSなので、誰でもコードを確認することが可能です。そのため不正プログラムを組みやすく、サイバー攻撃の対象となるサイトが多いため、セキュリティ対策が必要になります。

具体的にはセキュリティ用のプラグインを導入する、ベンダー(製品のメーカー、または販売会社)のサポートを受けるなど、それぞれのCMSに応じた対策を実施してください。

エラーが起きた際のトラブル対応が難しい

Webサイトを運用していると、何が原因かわからずにエラーが起きることもあります。特にコードの干渉といった内部的なエラーの場合、CMSを構成しているプログラミング言語の専門知識をもつ人でなければ原因を探るのが困難です。解決までに時間がかかるケースもあるでしょう。

それに素人がソースコードを変更すると、さらにエラーが増えるなど二次災害になる恐れもあります。こうしたトラブルが発生した際には、速やかにプログラマーや制作会社に依頼したほうが安全です。

CMS導入に向いていないサイトとは

CMSはWebサイトの構築や更新作業などをサポートするツールですが、サイトによっては必要ないケースもあります。

具体的には、

  • 滅多に商品やサービスをリリースせず、あまり記事の更新などが必要ない
  • 独自のシステムを構築したい
  • セキュリティの高いサイトを作りたい

などです。

もしオウンドメディアを作っただけで放置するなら、CMSのメリットはほぼ感じられません。そもそもコンテンツマーケティングに向いていないため、純粋に広告を打ち出したほうが良いでしょう。

また独自のシステムやセキュリティ、他にはないコンテンツを作るなら、既存のシステムを利用するCMSでは難しい場合もあります。費用は高くなりますが、制作会社に依頼したほうが確実です。

このようにどんなWebサイトでも、CMSを導入すればいいという訳ではありません。自社の目的や用途に応じて、最適な方法を選びましょう。

CMS導入にはパートナー選びも大切

CMSには、コンテンツ制作の効率化や作業の簡略化など様々な利点があります。しかし曖昧な方針でCMSを導入していては、機能をうまく活用しきれず無駄な作業となりがちです。確実に導入するメリットを活かすためにも、自社の目的や方針を明確にした上で最適なCMSを選んでください。

またオウンドメディアの運用について、何が正解かはっきりしているわけではありません。もしもCMSの導入でわからないことだらけなら、適切な運用やサポート体制が充実したベンダー(製品のメーカー、または販売会社)選びも大切です。

いくらコスパを抑えようと思っても、成果につながらなければ本末転倒です。必要な所にはある程度の費用を出すことを覚悟し、オウンドメディアやCMSの運用に取り組みましょう。