トンマナとは「トーン&マナー」の略で、広告デザインや文章表現の一貫性を保つためのルールのことを指します。トンマナが設定されていると、デザインや文章の印象が統一され、ユーザーに伝わるコンテンツになります。この記事ではオウンドメディアにおけるトンマナの意味とトンマナを設定する6つのポイントについてご紹介します。
トンマナとは

トンマナはもともと広告・出版業界の用語で、レイアウトや広告デザイン、文章表現などに一貫性・統一感を持たせるためのルールのことを表します。近年、Webサイトを使ったオウンドメディアマーケティングが増え、Webコンテンツにおいてもトンマナの必要性が高まってきています。
では、なぜトンマナが必要なのでしょうか。その理由は、デザインや文章表現に一貫性・統一感がないと、メディアとしてのブランドが確立せず、マーケティングの成果も上がらないからです。
例えば、おいしいラーメンを食べたいのに、行った店がラーメンだけでなく、カレーやどんぶり、中華料理など一貫性のないメニューを出していたら、とてもラーメン一筋のおいしい店とは感じられません。本当においしいラーメンを食べたい人は、そのような店には二度と行かないでしょう。
それは、オウンドメディアも同じことです。たまたまコンテンツ(記事)を見たユーザーが興味を持ってほかのコンテンツを見たときに、デザインや文章表現に一貫性がなければ、とても違和感を覚えてしまいます。
そのようなオウンドメディアは、ユーザーも離れてしまうため、いくらコンテンツを作成しても、ユーザー獲得や商品購入・お問い合わせなどの成果にはつながらないでしょう。
トンマナがしっかりあるオウンドメディアは、サイト全体のデザインや文章表現に一貫性が生まれるため、ユーザーの安心感・信頼感が高まり、届けたいユーザーに伝えたいメッセージがしっかり届くようになります。
デザインだけでなく文章にも“トンマナ”は必要
オウンドメディアにおけるトンマナは、サイトデザインだけでなく、文章表現でのルールが大きな比重を占めます。なぜなら、オウンドメディアの核はコンテンツだからです。コンテンツの質を一定に保ち、ユーザーに理解・支持されるメディアを作っていくためには、文章に関するトンマナが必要不可欠です。
オウンドメディアでトンマナを活用する際のポイント

それでは、具体的にオウンドメディアの文章のトンマナを考えるうえで、押さえておきたい6つのポイントについてご紹介します。難しいテクニックは必要なく、コンテンツに一貫性を持たせるルールづくりが大切です。一つひとつわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
文体・語尾の統一
文章の一貫性を保つために最も重要なのが文体・語尾の統一です。文体・語尾には「ですます調」と「である調」の2つがあります。語尾によって文章の雰囲気も大きく変わるため、ターゲットやコンセプトにあった文体・語尾を使うようにしましょう。
「ですます調」 | 「である調」 |
---|---|
ユーザーに優しく柔らかい印象を与えるため、多くのオウンドメディアで使用されている | ユーザーに断定的で引き締まった印象を与えるため、ニュースサイトや学術情報サイトなどで多く使用されている |
また、サイトによっては親しみを持って「ですね」など会話調を使用する場合もあり、どこまで許容するかも検討しておくべきです。
表記揺れのない文章
次に、表記揺れのない文章表現に統一することが大切です。例えば、「表記揺れ」「表記ゆれ」「表記ユレ」など、書き方が統一されていないと、ユーザーにとって読みにくい文章になり、メディアとしての信用も得ることはできません。
表記揺れでは、日本語・英数字・記号の大きく3つに分けて考える必要があります。
- 日本語
漢字とひらがな、英語とカタカナの使い分けがポイント。例えば、漢字とひらがなでは「~する時」「~するとき」や「分かる」「わかる」など。
英語とカタカナでは「Web」「ウェブ」などの外来語や会社名・ブランド名の表記の仕方など。
そのほか、会社名に「」をつける、株式会社をつける・省略するなどの表記も統一していたほうが良い。
- 英数字
半角と全角のどちらに統一するかがポイント。例えば、金額は「1000円(全角)」と「1000円(半角)」のどちらにするか。また、同じ半角でも「1000円」「1,000円」「\1,000」など複数の表記があるため、どれを使用するかを決めておくこと。
英数字にかかわる単位(10人と10名、10キロと10kmなど)の表記もそろえたほうが読みやすい。
- 記号
使って良い記号と使わない記号を決めておく。例えば、「」『』【】の使い分けやデバイスのOS・フォントなどに依存する文字(機種依存文字)をどこまで使うかも許容範囲を決めておくと良い。
構成・文字数
構成・文字数などのトンマナも事前に決めておくと、コンテンツ作りがはかどります。例えば、記事タイトルや大見出し・小見出し・リード文の文字数、ひと段落あたりの行数、画像をどの程度挿入するかなどの構成・文字数を決めておくと良いでしょう。
もともと、新聞などの紙媒体ではスペースが限られているため、記事タイトルや大見出し・小見出しの文字数があらかじめ決まっています。また、冒頭(リード文)で結論を書き、本文で具体的な内容を優先度の高いものから順に書くという「逆三角形」の構成が主流です。
一方、Web媒体では、スペースをそれほど気にせず書けるため、記事タイトルや見出しが長くなってしまうこともあります。しかし、長く書けば書くほど、何を伝えたいのかよくわからないコンテンツになりやすく、記事タイトルや見出しは簡潔にまとめることが重要です。
構成・文字数に関するトンマナは、以下のように設定すると良いでしょう。
- 記事タイトルは25~35文字以内
- 大見出しは20文字以内
- リード文は120文字以内で本文内容や結論を簡潔にまとめる
- 大見出しは1記事で3つ以上は入れる
- 大見出しの下に必ず画像を挿入する
- 3~4行ごとに改行する
- 記事全体の文字数は3000文字以上
SEO対策
SEOについてのトンマナも決めておくと、検索エンジンから高く評価される良質なコンテンツづくりに活用できます。SEO対策のトンマナとは、以下のようなものです。
- 記事タイトルや見出し・リード文には指定したSEOキーワードを必ず入れる
- 本文にも自然な形で関連キーワードを盛り込む
オウンドメディアのSEO対策で必ずやっておきたいことは、検索エンジンで上位表示を狙いたい「SEOキーワード」を記事タイトルや見出し・リード文に含めることです。ユーザーは知りたいキーワードで検索してコンテンツにたどり着くため、SEOキーワードの設定は必須です。
しかし、キーワードの詰め込み過ぎは厳禁です。不自然にキーワードを詰め込み過ぎた文章は、かえって検索エンジンから低評価を受けやすくなるからです。ユーザーにとって「読みやすく」「わかりやすい」文章を心がけていけば、自然と関連キーワードは増えていきます。
キーワードを過剰に意識せず、ユーザーの目線に立ってコンテンツづくりをすることが大切です。
禁止ワードの統一
禁止ワードを決めておくことで、インターネットやSNS上で炎上するリスクを最小限に抑え、ユーザーに理解されやすいコンテンツになります。特に、差別や偏見・誹謗中傷につながりやすい用語は炎上のもとになるため注意が必要です。例えば、性別や人種・宗教・政治・人の生死にかかわるような言葉や話題は控えましょう。
また、「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」などもわかりにくい文章の原因になるため、禁止ワードにしておいたほうが良いです。
- 性別や人種・宗教・政治・人の生死などデリケートな内容の言葉や話題は避ける
- ら抜き言葉やい抜き言葉は使わない
例:「見られる」を「見れる」と表記したり、「見ている」を「見てる」と表記したりするのはNG
レギュレーション(ガイドライン)をしっかり作成しておく
コンテンツ作成における文章表記や書き方を統一するためには、メディアにあったレギュレーション(ガイドライン)を作成しておくことをおすすめします。レギュレーションがあると、社内でコンテンツを作成する場合はもちろん、社外のライターに外注する場合もルールを統一できるので便利です。
レギュレーションがあることで、編集者がライターに何度も修正依頼したり、ライターによってコンテンツの質が異なったりするといったトラブルを防げます。
最初はレギュレーションを作成するのが面倒に感じるかもしれませんが、一度コンテンツのガイドラインを統一すれば、効率良くコンテンツづくりができるようになります。オウンドメディアを運営するなら、レギュレーションの作成は必須と言えるでしょう。
メディアにあったトンマナが良質なコンテンツを生み出す
オウンドメディアのターゲットやコンセプトにあった明確なトンマナの設定は、良質なコンテンツを生み出すのに欠かせないものです。特に、複数のライターでコンテンツ作成を担当するときは事前にしっかり共有しておくことで労力や時間の無駄をなくせます。
コンテンツの一貫性・統一感を保ち、ユーザーに信頼されるメディアを構築するためにも、この記事を参考に、トンマナの設定やレギュレーション作成にぜひ取り組んでみてください。